プロフェッショナルに学ぶ:展覧会ができるまで
「展覧会」はどのように造られていくのか? 展覧会ができるまでに必要なさまざまな仕事を、各分野でご活躍の専門家の方々から、講義やワークショップを通して学ぶ、本学科の授業を、広く本学学生、一般の方々に公開します。各回毎にお申し込みが必要ですので、下記までお申し込みください。ARTZONEで開催するワークショップについては、講義の3日前(日曜日)までのお申し込みとさせていただきますが、それ以外の通常講義は、前日まで受付可能です。
ナビゲーター:福のり子
日 時:毎週木曜日 9:00〜12:00
会 場:京都造形芸術大学 人間館NA413教室/またはARTZONE(河原町三条)
料 金:無料
申込み:下記のとおりお申し込みください。
「希望する講義の日時、タイトル」「お名前」「ご住所」「電話番号」「メールアドレス」「大学・学部等(学生のみ)」をご記入のうえ、E-MailまたはFAXにて、お申し込みください。
E-Mail : a-michikami@office.kyoto-art.ac.jp(担当:道上)
FAX : 075-791-9429
定 員:50名(ワークショップは20名 先着順)
2010年4月15日(木) 9:00〜12:00
企画書の書き方
自らの企画を実現するためには、まず企画書を作成しなければなりません。そのためにはなにが大切か?どのような内容を、いかに盛り込んでいけばいのか?著名出版社に実際に提出された企画書や、「マン・レイ展」のために書かれた企画書などを参考にしながら、授業中に学生自身も企画書を作成します。講師はASP学科の学科長で、雑誌「太陽」の元名編集長、門崎氏。企画を実現するためのライティング・スキルを学びます。
講師:門崎敬一
編集者/芸術表現・アートプロデュース学科学科長
1950年山形県酒田市生まれ。編集者。1974-99年の25年間、平凡社の社員として月刊雑誌「太陽」や、池波正太郎『よい匂いのする一夜』、立花隆『サル学の現在』、『荒木経惟写真全集』、平凡社新書等の編集に携わった。90-93年「太陽」編集長。99年に退社して独立。立花隆『東大生はバカになったか』(文藝春秋)、『世界の食文化』(農文協)、雑誌「考える人」(新潮社)などを編集。01-03年に小学館「和樂」エグゼクティブ・エディター。03-09年に慶応義塾大学SFC特別招聘教授。08年より本学ASP学科教授として学生の指導にあたっている。
2010年4月22日(木) 9:00〜12:00
日米欧の文化経済/政策システムと状況
2010年5月6日(木) 9:00〜12:00
協賛金を出す企業の側から
世界のアートマネージメントについて深い造詣をもち、企業と行政の両方の立場から文化創造活動に携わってきた加藤氏を、2週続けてお招きします。展覧会について、特に「なぜ、いま、ここで、この展覧会が必要なのか」を、経済、文化、そして社会/生活の観点から学び、考えます。
講師:加藤種男
アサヒビール芸術文化財団事務局長
1990年アサヒビールが企業文化部を創設して以来、同社の社会貢献部門の推進役となる。アサヒアートフェスティバル、アサヒビール大山崎山荘美術館(京都府)の立ち上げなど、企業の芸術文化活動(メセナ)を幅広くリード。2002年より、現職。企業の立場からNPOの環境整備に取り組み、全国の関係機関とともにアートNPOフォーラム等を立ち上げる。アートNPOリンク理事、芸術資源開発機構理事、日本NPOセンター評議員。また、2003年より横浜市の創造都市関連の委員、横浜市芸術文化振興財団専務理事などを歴任し、芸術文化創造都市をめざす横浜市の文化政策推進の旗振り役も務める。著書に『新訂 アーツ・マネジメント』(共著)、『環境経営戦略事典』(共編著)ほか。2008年度芸術選奨文部科学大臣賞(芸術振興部門)受賞。
2010年5月13日(木) 9:00〜12:00
美術品の梱包輸送
貴重で高価な美術品はどのように梱包され、運搬されるのでしょうか。昨年東京国立博物館で開催された展覧会のために、興福寺の国宝、阿修羅像の梱包/運搬を担当した日本通運の海老名氏にその苦労と努力をうかがいます。卓越した技能を持つ、その道の第一人者だけに与えられる「現代の名工」に、美術品梱包輸送者として初めて選ばれた氏による、梱包のワークショップも開催。
講師:海老名和明
日本通運関西美術支店 技術顧問
入社以来35年にわたり美術品輸送業務に携わる。国宝、重要文化財等の梱包技術及び輸送における経験と技術は、美術品業界から高い評価をうけている。これまで門外不出であった新薬師寺「額爾羅大将立像」、唐招提寺『盧舎那仏坐像』、『薬師如来像』等の展覧会への出展を実現させたとともに、後進技能者への指導・育成にも大きく貢献。平成17年度、卓越した技能を持ち、その道で第一人者と目される技能者を表彰する「(現代の名工)」を受賞。美術品梱包輸送における受賞は、昭和42年の表彰制度創設以来、初めての快挙。日本通運の美術品事業部で技術顧問、関西駐在を努めている。
2010年5月20日(木) 9:00〜12:00
展覧会展示理論
欧米の美術館では展示デザイナーを館で雇用したり、展覧会の度に外部から展示デザインの専門家を雇うことも多くあります。作品を最高の方法で展示し、展覧会の主旨を具現化し、いかに魅力的な展示空間を構成していくかはプロフェッショナルな仕事なのです。日本でまだ数少ないこの分野の先駆者の一人、大野木氏からこれまでの仕事について話していただき、展覧会の展示構成にかかわる大切な理論とポイントを学びます。
講師:大野木啓人
京都造形芸術大学 芸術学部長/空間演出デザイン学科学科長
京都市立芸術大学彫刻科卒。個展、公募展、グループ展等で彫刻作品を発表、1972年から立体造形を中心にディスプレイの仕事を続ける。1980年代、イッセイ・ミヤケや川久保玲、高田賢三氏らのデザイナーと組み、新しいマネキン人形を製作。90年代は美術館などの公共空間展示空間設計や企画、アートディレクション、商空間のディスプレイや造形制作など、「人間の時間」のあり方に独自の表現を展開している。京都造形芸術大学教授国立民族学博物館や都立庭園美術館等、多くの美術館アートディレクションや会場構成を手掛ける 。
2010年5月27日(木) 9:00〜12:00
作品を最高の形でみせる(会場:ARTZONE ※定員20名)
作品だけではなく、それをとりまく様々な背景を理解しながら、いかにすれば作品を最高の形で観客にみてもらえるか。そのためには、作品が「最も好む環境を作る」ことが大切です。講師、和田雅弘氏は語ります。「そのような環境を作っていくと、解説文などなくても『その人=作品』の人となりが前面にでてくる。」古典から現代美術、そしてアウトサイダーアートに至るまで、これまでに様々な展覧会の展示を手掛けてきた和田氏とともに行う、「作品を最高の形でみせる」ためのワークショップ。和田氏の勤める「タキヤ株式会社」は、展示や展示作業などに関係する製品の販売などを取り扱う会社です。
講師:和田雅弘
タキヤ株式会社
2010年6月3日(木) 9:00〜12:00
梱包開封、作品を掛ける(会場:ARTZONE ※定員20名)
日本中の美術館で開催される多くの展覧会の展示業務を、実際に行っているのはヤマトや日通の美術部です。この授業ではヤマト美術運輸の展示作業のプロ、宮井孝夫氏から、美術館に到着した作品を開封し、作品を実際に掛け終るまでを、ワークショップをとおして学びます。
講師:宮井孝夫
ヤマト美術運輸
2010年6月10日(木) 9:00〜12:00
企画を売る
日本における「インディペンデント・キュレイター」という職業は、ここ15年ほど前に生まれました。そのために、どんな内容をする仕事なのかはまだあまり知られていません。現在、日本だけではなく海外でも活躍する窪田氏に、インディペンデント・キュレイターという仕事についてお話いただきます。どのようにして企画を立て、それを「売っていく」のかをうかがいます。
講師:窪田研二
KENJI KUBOTA ART OFFICE代表
1965年東京生まれ、銀行に勤務後、上野の森美術館、水戸芸術館現代美術センター学芸員を経て現在に至る。1997年より「アートリンク上野・谷中」を主宰(2000年まで)。「日常茶飯美−Beautiful Life?」「孤独な惑星−lonely planet」「X-COLOR/グラフィティ in Japan」他多数の展覧会キュレーションをおこなう。2007年には広島市現代美術館のゲストキュレーターとして収蔵作品の購入価格を公表する日本初の展覧会「マネートーク」を企画。2008年はTBS主催「赤坂アートフラワー08」アートディレクター、「横浜トリエンナーレ2008」関連プログラムマネージャー、「シンガポールビエンナーレ2008」ディレクターアシスタント、2009年「堂島リバービエンナーレ2009」キュレイター、「Twist and Shout−Contemporary Art from Japan」キュレイター/BACC(バンコク)、2010年「六本木クロッシング2010」キュレイターを務める。現在、東京とシンガポールを拠点に活動中。
2010年6月17日(木) 9:00〜12:00
照明:実践(会場:ARTZONE ※定員20名)
2010年6月24日(木) 9:00〜12:00
照明:理論
2週続けて行う、「照明」の授業です。講師の岩村氏には過去にも何度か授業をしていただきました。ひとつの作品にさまざまな角度や方法で照明を当てるたびに、学生から「おおお!!!」という声があがりました。展示における最後の仕上げである照明は、作品にとっても展覧会にとっても、大変重要な要素です。舞台や映像の世界で照明は欠かせない存在ですが、現在、照明のプロを雇っている美術館はほとんどありません。照明の大切さを学ぶとともに、今後、美術展示における照明のプロフェッショナルを目指すきっかけにもなればと願っています。
講師:岩村原太
京都造形芸術大学 舞台芸術センター主任研究員
京都市立芸術大学在学中よりライティング・ワークの試みを始め、卒業後、劇場芸術・舞台表現の現場に参加し、今に至る。現在、自身のワークショップ「pdd G.Light'W.」を主宰する他、デザイナーとして「観光会」を継続。代表を務める「西陣ファクトリーGarden」では実験的作品の自主制作を行う。1990年より参加する「山海塾」ではディレクター天児牛大氏の照明アシスタントを勤め、約15年間で38ヵ国を訪問。創作ではコラボレーション作品の上演、関西在住の同世代舞踊家(岡登志子氏、清水啓司氏、隅地茉歩氏、阿比留修一氏、今貂子氏)、音楽家との協働作業が主なもの。2005年よりは「鼓童」プロダクションに招かれ、照明デザインを担当する。
2010年7月1日(木) 9:00〜12:00
展覧会における印刷会社の役割
展覧会と印刷物は切っても切れない関係にあります。どの紙に、どのようなインクを用いて、どの方法で印刷するかは、作品画像のイメージを決定するだけではなく、展覧会の広報にも直接的な影響を与えます。本講義では凸版印刷から菊池巨氏をお招きし、印刷の基礎、カタログ制作の工程などを学びます。さらには、「展覧会における印刷会社の役割」という観点から、デジタル・アーカイブについてもお話いただきます。
講師:菊池巨
凸版印刷株式会社
1996年京都工芸繊維大学大学院修了。同年、凸版印刷株式会社入社。トッパンアイデアセンターにて展覧会カタログ、企業カレンダーなどの制作に携わる。現在は文化事業推進本部にて、文化財や美術品の保存と公開を目的とした高品質なデジタルアーカイブの研究と実践を推進している。
2010年7月8日(木) 9:00〜12:00
展覧会の広報について
どれほどすばらしい展覧会を実現しても、だれもみてくれなかったらどうなるでしょうか?展覧会をつくる様々な仕事のなかで、今、最も新しい職種がパブリシスト(広報担当者)です。自ら事務所を立ち上げ、この新しい分野の仕事に挑む平氏をお招きし、事務所を開くきっかけ、活動内容をうかがうと同時に、展覧会の広報にとって大切な事柄について学びます。
講師:平昌子
TAIRA MASAKO PRESS OFFICE主宰
1974年大阪生まれ。設計事務所、建築プロデュース会社、アートギャラリーを経て、自身の経験を生かした分野を中心としたPR業務を請け負う仕事をめざし、TAIRA MASAKO PRESS OFFICE主宰する。2005年、デザイン分野では国内外のデザイナーが伝統工芸技術を使用した照明器具のデザイン発表プロジェクトや、建築では2007年「リスボン建築トリエンナーレ」、アート分野では2008年国際展「横浜トリエンナーレ」。国内のトップギャラリーが集結したアートフェアー「G-tokyo」に代表される国内各地のアートフェアのPRなどアートと建築のジャンルでPR業務を行う。
2010年7月15日(木) 9:00〜12:00
アメリカのインディペンデント・キュレイターについて&アーティスト財団とアーカイブについて
今年、国立新美術館と国立国際美術館で開催される、「マン・レイ展」のキュレイターであるジェイコブ氏を招き、インディペンデント・キュレイターとして同展覧会を実現するまでのプロセスをうかがう。欧米では著名アーティストの死後、そのアーティストの名前をつけた「財団」が設立されることがあります。財団は、作品や著作権を守るだけではなく、アーティストの死後も、さらにその価値を高めるための様々な活動を行います。「インゲ・モラス財団」のディレクターでもあるジェイコブ氏に、「アーティスト財団」の役割と活動、アーカイブについてもうかがいます。
講師:John Jacob
インディペンデント・キュレイター
アーティスト、インディペンデント・キュレイターとして活動を始める。1980年代、東欧と旧ソ連圏に何度も赴き、その成果として「非公式芸術作品」の展覧会を、ヨーロッパやアメリカで企画する。1992年、ボストン大学併設写真美術館のキュレイター、翌年館長となる。2000年にボストンを離れ、2001年から2003年までアトランティック・バーハーバー大学で非常勤教授(adjunct professor)として勤務。2004年、ニューヨークのInge Morath財団の創設ディレクター。多くの美術館や写真アーカイブ関係のコンサルタントとしても活躍。