展示企画会社で働く

キムヒョウン
釜山デザイン高校卒業→本学科09年度卒業→10年度〜beyond museum(韓国・ソウル)

―現在の職業・活動について―
 学生時代、私は実践経験を積むため、様々な美術の現場に参加しました。休み期間を利用し、日本と母国韓国とを行き来しながら、3年生の時は『釜山ビエンナーレ』のスタッフとして、4年生の時は『韓国国際アートフェア(KIAF)』でインターンとして働きました。そうした経験から、キュレイションや展示企画に関する分野に強く関心を抱き、卒業を控えた頃、韓国で就職活動を始めました。その時期に、日本人デザイナー 吉岡徳仁の大型展覧会を企画していた展示企画会社「beyond museum」を知り、私が日本語の使える美術専攻であることもあり、そこでの就職が決まりました。
 入社後、私にとって最初の展示であった吉岡徳仁の展覧会では、新人であったにもかかわらず、複数の業務を担当しました。展示準備には日本の作家やスタッフとの綿密なコミュニケーションが必要だったため、日本語の勉強も倦まず弛まず続けつつ、展示企画および広報、作家とのやり取り、作品の設置や搬入搬出作業、展示運営など、多様な業務をこなしながら、1年間経験を積んでいきました。
 2年目には、また他の日本人インスタレーション作家の栗林隆の展覧会を企画しました。それまでの経験を土台に、展示企画だけでなく、企業スポンサー集めやマーケティング、広報業務を重点的に担当し、さらに成長するきっかけになりました。今は展示企画だけでなく、様々な文化芸術行事の担当、世界有数のブランド企業(Chanel、Ferragamo、Dior、BENZ、BMW、Facebookなど)に展示空間をレンタルする役割も担っています。卒業後の5年間、この様に文化・美術の現場で様々な仕事をしています。


―ASP学科で学んだこと―
 私は理論と実践の両方が重要だと思ったので、多様な授業を受けるよう心掛けていました。多くのプロジェクトや授業が大きな学びでしたが、その中でも特に記憶に残るのは、福先生に指導していただいた“ACOP”と、『Force of Nature −自然の力/アートの力−』、『アートで架け橋/ART AS A BRIDGE』、『もの×もの −セリーナ・オウ写真展−』といったプロジェクトです。ACOPでは、コミュニケーションの重要性や作品と鑑賞者の間で起こる現象について深く理解できましたし、展覧会にスタッフとして参加したことは、展覧会全般の流れを企画からオープンまで経験するきっかけになりました。
 私は留学生であったため、日本語で聞く授業は常に緊張感と不安感がありましたが、多様で面白い授業を通して言語に対する不安を少しずつ振り落とすことができました。留学生として魅力的だった授業はフィールドワークです。 異国の伝統と文化に直接触れる経験から、多くのインスピレーションと学びを得ることが出来ました。これは京都にある大学ならではだったと思います。そして今、日本の作家や企業と仕事をする上で直結しているのは、4年生のゼミだと思います。研究論文を執筆するためには、日本語力を磨くことがとても重要だったので、論文を書くことそのものが私には大変勉強になりました。

―ASP学科の在校生・これから入学されるみなさんへ―
 私がこんな話をするようになるとは昔では考えられませんでしたが、今では学生時代がとても懐かしいです。社会に出て仕事をしているとわかりますが、熱情を注ぎ込み、学びに対する渇望を解消する機会は大学時代以外ありません。アートプロデュース学科で学んだ様々なことが、今の私の糧となっています。皆さんには、美術に関する知識を身につける理論の授業と、実践を中心とした授業とをバランスよく受けることをお勧めします。自分でも気が付かない間に、とても成長しているものです。さらに付け加えると、外国語もとても重要です。より大きな舞台にいくためには必須な条件です(昔、福先生がしてくださった話ですが、本当に実感しています!!)。自身の可能性を広げるために、少しずつでも外国語を修得することをお勧めします。

 


(2014/11 更新)