アートで社会をマネジメントする

吉原和音
京都文教高等学校卒業→本学科09年度卒業→12年〜大阪府立江之子島文化芸術創造センター[enoco] 勤務→14年度〜兵庫県立大学大学院 応用情報科学研究科在籍

―現在の職業・活動について―
 卒業後は、社寺仏閣の建築装飾(彩色師といわれる、ふすま絵や柱や梁や天井などに絵を描く専門職)を手がける工房で、現場の段取りや職人のサポートなどのマネジメントを行なっていました。その後、一旦大学に戻り、学科の事務をしていた時に、アーティストの紹介で大阪府の文化事業「『おおさかカンヴァス推進事業』に参加しないか?」とお声がけいただいたのがはじまりです。カンヴァス事業ではアーティストの作品制作ディレクターとして、制作から展示までに発生するあらゆる業務(予算やスケジュールの管理から、都市の規制との調整や交渉、展示やイベント計画にいたるまで)を担当しました。その時、一緒に働いていた方からお誘いいただき、enocoのオープニングスタッフとして参加することになりました。
  enocoは「社会課題をアートやデザインの力で解決する」を主なミッションに多様な活動をしています。たとえば、大阪府が所蔵する約7800点の美術作品を管理し、展覧会や市民が美術に親しむきっかけづくりを企画しています。また、アーティストに滞在制作や展示をしてもらうレジデンス事業もあります。トークや音楽、演劇などのイベントもあれば、そういった企画を市民が立ち上げていくマネジメントの学校やワークショップも開催しています。広報誌の記事を書いたり編集もします。本当にいろんな活動をしていますが、基本的にどの活動も様々なアーティストやクリエイターとの恊働事業のため、取り組む課題とクリエイターの発想をいかに繋いで実現いくかということが私たちの主な仕事です。活動が多岐にわたるので、所属するスタッフの専門もアート・デザイン・教育・建築・街づくりなど様々です。私も最近、情報学の大学院に通いはじめ、かなり自由に活動させてもらっています。


―ASP学科で学んだこと―
 コミュニケーション力と現場度胸です(勘のほうがいいかな?笑)。
 社会に出ると、これまで知らなかった、様々な背景や考えを持った人に出会います。その人たちとコミュニケーションをとれないとお仕事がはじまりません。ACOPの授業を通して身についた、相手や物事が“なぜ”このような反応を起こすのかなど、あらゆる“なぜ”を考えて共有し、明確化し、整理していく経験が活かされていると思います。その準備があれば、突発的に起きる物事にもビビらず対応できますしね。
 ARTZONEや『混沌から躍り出る星たち』展をはじめとする様々なプロジェクトに参加したことも、仕事を進めていく上での基礎になっています。反省としては、美術史なども含めた基礎教養をもっとやっておくべきでした。これまでの積み重ねがあってこその現在だという大きな流れで今の仕事を考えると、自分の立ち位置や、やるべき事が見えてくるような気がしています。

―ASP学科の在校生・これから入学されるみなさんへ―
 まずは自分基準を捨てる事。あらゆるきっかけがASPにはあると思います。新しく経験できるすべての事に対して、自分の基準で良いや悪いを判断するのではなく、飛び込んで経験してみることが大事だと思います。その中で失敗することもあると思いますが、自分の領域を広げることは面白く、やみつきになるはずです。そして、様々な経験を共有した、信頼出来る仲間をつくる事。これって結構重要だと思います。4年間なんてあっという間です。卒業後には更に広くて面白い世界が広がっていますので、与えられた機会はすべて食べ尽すぐらいの気持ちで大学生生活を楽しんでください。

 


(2014/11 更新)