複合施設で働く
宮内龍太郎
姫路市立姫路高等学校普通科卒業→本学科12年度卒業→13年度〜ナレッジキャピタル(所属:株式会社スーパーステーション)→16年度〜株式会社地域交流センター企画勤務
※このインタビューはナレッジキャピタル勤務当時に行われました。

―現在の職業・活動について―
  私は現在、複合施設「ナレッジキャピタル」において“コミュニケーター”という職業に就いています。ナレッジキャピタルは、大阪駅北側の再開発地区に開業した「グランフロント大阪」の中核として位置づけられた施設です。「知的創造拠点」と訳され、様々なモノ、ヒト、情報が集まり、それらを掛け合わせて新たな価値を創造することを目指して設立されました。その中には企業、大学、研究機関が開発中の製品や研究をお客様に体験してもらい、フィードバックを得ながら新たな製品やサービスを共に展開していく「The Lab」、企業経営者、デザイナー、エンジニア、プログラマーなど様々な業種、業態の人々が集い、交流する事でコラボレーションを目指す「ナレッジサロン」といった様々な目的を負った場が存在します。そして、このナレッジキャピタル内で唯一どの施設にも所属せず、全体の交流を促進するのがコミュニケーターの仕事です。
現在私が行っている主な業務は以下のようなものが挙げられます。

○全体
・一般来場者に対してナレッジキャピタル全体を紹介する館内ツアーの実施
・国内外の視察グループに対するアテンド
・ナレッジキャピタル各所で実施されるイベントの記録撮影・映像配信
・ナレッジキャピタルに関わる情報の収集、及び類似施設の調査
・その他、ナレッジキャピタルに必要・効果的と思われるアクティビティなどを企画立案

○The Lab.
・体験を交えながらの展示物の紹介、及び一般の方からの意見やアイデアを収集
・収集した意見やアイデアを、出展企業/機関にフィードバック
・参加者間の交流を促すワークショップの企画/実施

○ナレッジサロン
・会員に対してのヒアリング(職業、趣味、入会目的、希望する出会いなど)
・ヒアリングを元に会員間の繋がりを試みる
・ナレッジサロンにおける特別イベント時のスクライビング(実況型の板書)
・速記によるイベント内容のアーカイブ

このように、様々なコミュニケーションの手法を用いながら、ナレッジキャピタルのコンセプト実現に向けて動いています。  


―ASP学科で学んだこと―
 一言でいえば、ASPは私にとって「社会への準備体操」期間でした。入学当初から2年次始めにかけて、私は所謂ひきこもりに近い時期が続いていました。「コミュニケーター」という今の職業とはかけ離れた、コミュニケーションに極めて乏しい時期でした。恐らくこの期間に家族を除いて最も会話をしたのは、無線LANルーターが壊れた際に電話したサポートセンターのお姉さんではないかというほどです。
 しかし、私にとって幸運だったのが、ASPという場がコミュニケーションを段階的に学べる環境であったことです。ASPは1年次の必須講義であるACOP(Art Communication Project)に始まり、学生運営のギャラリーARTZONE、インターン、またそれらの関係性から生じた学外でのイベント運営やアクティビティへの参加など、学年を追うごとに関わるコミュニティの規模が大きくなっていく特徴があります。これがコミュニケーションへの苦手意識を持っていた私には効果的で、同じ学科の同期10数人からスタートしたコミュニティは、課外活動、地域イベント、社会人も参加する講習会などを通じて外へと広がっていき、気がつけば自分とは正反対にあったはずのコミュニケーションを扱う分野、「ワークショップ」の実地と研究を行っていました。
 この“わらしべ関係性長者”というべき、繋がり、拡大していく人との関わりの中で、私は自身のキャラクターやコミュニケーションの特性/適正といったものを形成していくことが出来ました。このASPで学ぶ中で勝ち得た「社会と自分の関わり方のカタチ」という副産物こそが、私が在籍した最大の意味であったと思っています。


―ASP学科の在校生・これから入学されるみなさんへ―
 ASPは小規模な学科です。それ故に狭く濃いコミュニティであり、時に人間関係やそれに伴う自身の振る舞いに嫌気がさすこともあるかもしれません。しかし、だからこその魅力もあると思います。高校までとは違いクラスや全校を挙げてのイベントなどがない大学では、取捨選択しながら人間関係を築いていくようになりますが、ASPはACOPやARTZONEがある以上、あらゆるタイプの他者と否応なく関わらざるをえなくなります。このなかには価値観が合わない人や、自分の嫌な部分が露呈するような人などとの出会いもあるかもしれません。しかし少し引いてみれば、こういったネガティブな出会いも含め、多様な人々との関わりとそこから得られる経験はその後の人生で必ず役立つはずです。あなたにとって社会の出る前、最後にフラットな関係性の中で他者に向き合える場になると思います。    


(2016/04 更新)