美術印刷会社で働く
増尾麻黄
和歌山県立星林高校(国際交流科)卒業→07年度卒業→08年度〜ミーナ京都の広報担当→10年度〜株式会社便利堂(「美術はがきギャラリー京都 便利堂」店長)勤務
―現在の職業・活動について―
 私の勤める株式会社便利堂は、国宝や重文の美術品複製、美術書籍や図録の制作から、ミュージアムグッズ/ショップの企画・作製・運営など、明治創業から深く美術と関わっています。時折「老舗美術印刷の便利堂さん」と呼んで頂くことがありますが、美術印刷の技術だけでなく、それらを機能させていくプロデュース企業として、今でも便利堂は成長途中にあります。  富小路三条を少し上ったところにある「美術はがきギャラリー 京都 便利堂」は、そうした便利堂の活動を発信するとともに、知識や格式に捉われず、美術を“もっと身近に楽しむ”ことを伝えたいという思いから作られたショップです。ギャラリーという名がついていても、絵はがきを一面に並べた壁にキャプションはありません。自分の感性で、一枚たった90円の美術を選んでもらえたらと思っています。とはいえこんな時代ですから、もちろん店の売上向上が店長としての私の大きな仕事のひとつです。その為に季節に合わせた販売戦法や、客単価アップの接客、商品の勉強(大学時のノートが大活躍!)など日々店作りに奮闘しています。  一方で、こんな時代だからこそ、強いメッセージ性のあるショップを存在させる意義を感じながら、新商品の企画、広報をはじめ、ショップから一歩外に出て冷静にブランディングしていく視点も非常に重要です。よく壁にぶち当たっては砕けそうになっていますが、「さすが便利堂さんですね」というお客さんからの一言は強くて、途端に楽しくなってしまいます。


―ASP学科で学んだこと―
 自分の考えを言葉にして、それを多数の前で話し、意見を聴き、また自分の中で反芻する、という機会が非常に多かったです。与えられたテーマについて議論するのもそうですが、何より「自分のこと(好きなもの・興味があるもの)」を言葉にすることが大変勉強になったと思います。  実践的な活動をする場が学外にもあった中で、大量の情報を自分で分析して咀嚼していく行為はすぐには出来ませんでした。なぜなら、「自分はこうだ」という考えがなかったからです。何がしたいか分からないなら自分の好きなものを並べてみろ、と言われたことを覚えています。思い描くだけでなく、目の前に並べてみることで、客観性が生まれることに気付きました。


―ASP学科の在校生・これから入学されるみなさんへ―
 最近になってやっと、ASP学科を卒業したことに自信が持てるようになりました。入学してすぐは訳も分からず色々なことに首を突っ込んでいましたが、その時期でしか得られないことを多く経験することができました。  自由に選択できることで、不安になる時もあるかもしれませんが、よく分からないけれど近づいてみる、というだけでも収穫はあるので、何でもチャレンジしてみてください。 ASP学科は、疲れます。(笑)くたくたになります。でも無駄なものは何ひとつなかったと今でも思います。これからもクリエイティブなアイディアを持った人たちが社会で活躍することを楽しみにしています。


(2012/9更新)